ハイパーサーミア(温熱)
当院に導入しているサーモトロン-RF8は、保険適応の通った温熱療法の医療機器であり、日本ハイパーサーミア学会から推奨されております。長野県はもとより、甲信越においても早期からの導入をしております。適応としては胃がん、大腸がん、肝がん、胆管がん、膵がんなどの消化器腫瘍、胞肺がん、扁平上皮肺癌、胸壁腫瘍、胸腺癌などの胸部疾患、子宮がん、卵巣がんなどの腫瘍、腎がん、前立腺がん、尿管がんなどの泌尿器科腫瘍、乳がん、肉腫他などで、頭部除いて広い領域の悪性腫瘍に適応があります。
サーモトロン-RF8では体内の腫瘍近傍て42−43℃の適切な温度管理が可能で、通常40−50分間の時間がかかり、1回/週施行しにて1セットとして治療を継続していきます。


治療の効果
化学療法や放射線療法または手術とのビネーションで治療効果を高める事が知られておりますが、温熱療法だけでも効果が期ます。
できるだけ、標準治療(手術、化学療法、放射線治療)を十分に受けた上、療で効果が十分でない場合や、副作用のために継続が困難な場合にこの温熱療法が適応得ます。
効果としては数回~数コース受けて頂いた後に腫瘍縮小(増大スピード低疼痛緩和など期待できる症例があります。他の治療でダメージを受けた体が楽になり、食欲増進、痛みの軽減、生活の質の向上などが得られる場合が多いです。
治療のコンビネーション
今までに培ったがん診療の実績と、信州大学先端細胞治療センターや地域のがん拠点病院との強いパイプを持ち、新しくかつ有効な治療方法をご相談いたします。ご相談の上、樹状細胞治療を中心とした免疫学的治療、陽子線、重粒子線などの放射線治療施設へのご紹介も可能です。
ハイパーサーミア治療を受ける患者様へ
- 治療前の食事は取っていただいてかまいません。ただし食事後に治療を受ける方は腹部を圧迫することもあり、食べ過ぎには注意して下さい(飲物は問題ありません)。
- 身体に付けている取り外し可能な金属製の物(眼鏡、時計、指輪、アクセサリー、金属含む貼付剤、カラーコンタクトレンズ等)は治療前に取り外すようお願いします。
- 金属粉を含んだ化粧等をしている部位が加温域内にある場合は、治療前に化粧等を取り除くようお願いします。
- 治療中は加温する部分の着衣を脱いでいただきます。
- 加温中は身体が温かくなり汗を多くかきますので、バスタオル3枚、フェイスタオル2枚等の準備をお願いします。
- 特に治療後は水分を十分に取るようにしてください(当院からは水のボトルをご提供致します)。
以下に記載する項目に該当される方はスタッフに申し出てください。
- 妊娠中の方
- 心電図、ペースメーカー、植え込み型除細動器等を装着している方
- 加温域内に金属片(ステント)等を留置している方(チタン製は問題がありません)。
- 金属粉を含む刺青等をしている方
- 疾患が眼球・脳にある方
- 合併症等を有する方
- 意思の疎通が困難な方
- その他、主治医が不適当と認める方
ハイパーサーミアQ&A
- Q
どのような症例(がん)に効果が期待できますか?
- A
保険的には固形癌が対象となっております。手術などを行なう必要のある方は標準の手術を受けて頂いた後に再発予防にも効果があると考えております。また、再発病巣の治療、転移病巣の治療、痛みのある部位への治療などご希望の部位を承ることも可能です。約80%の方は化学療法、放射線治療など治療をしながら、このハイパーサーミア治療を行なっております。早めの併用療法をお勧めしております。当院で治療している88例の膵癌症例では半年以上の治療群において従来の生存曲線の明らかな上乗せ効果が認められております。
- Q
1回の治療時間はどのくらいかかりますか?
- A
1回の治療時間はおよそ40分間です。治療前後お着替え等の時間を含め、お一人あたり60分を1枠とさせて頂いております。体調が悪い方では30分程度で終了される方もいらっしゃいますが、徐々にパワーを上げて最後が最もハイパワーとなりますので、できる限り40分の施術が望ましいです。
- Q
費用はどの程度かかりますか?健康保険の対象ですか?
- A
ハイパーサーミアの費用は保険適用となります。保険点数は8回を1クール(一連の治療)として、深部加温で9,000点(お支払いいただく額は、1割負担9,000円、2割負担18,000円、3割負担27,000円)、浅部加温で6,000点(お支払いいただく額は、1割負担6,000円、2割負担12,000円、3割負担18,000円)となります。保険診療の場合は最初の治療日に自己負担額のお支払いをいただきます。また、初回には状態の確認とご説明(20~30分程度)の費用として、上記とは別に3,000円を請求させていただきます。
1クール内で8回以上の治療をご希望される場合や、保険診療が終了した後の治療は自費となり、1回ごとのお支払いとなります(1回税込11,000円)。また、検査料や診察料は別途費用がかかります。
保険を使えるルールが変更となり、保険での治療は最大でも3クールまでとなってしまいました。また、2クール目以降に保険が使えるかどうかは治療効果があるかどうかによって変わります(保険者により解釈が異なり、効果があったとしても3クール目までの保険診療を保証できるものではございません)。ただし温熱療法は任意がん保険の対象となる場合があります。対象の治療として温熱療法やハイパーサーミアと記載のない場合でも対象になることもあるため、詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください(任意がん保険の支給内容は加入保険によって違います)。 - Q
副作用はどのようなものがありますか?
- A
副作用は低頻度ですが、熱傷、脂肪硬結、脱水などがあげられます。個人差もありますが、副作用が非常に少ないことがこの治療の特徴の一つとなっております。当院でのアンケート調査から、特に化学療法の副作用軽減の効果も知られております。またご高齢者、または複数回の化学療法施行後などで標準的な治療が困難な方などにも安全に行なう事が可能です。熱さ、痛さについては御本人様からスタッフに声がけをしていただき確認しております。熱さ、痛さは御本人様しかご評価出来ませんので、スタッフにお伝えいただき、その都度微調節させて頂いております。化学療法を併用して頂いている患者様からは化学療法の副作用も軽減したとのご評価も頂いております。
- Q
どの程度の頻度の治療が、どのくらいの期間必要ですか?
- A
ハイパーサーミア治療の頻度は基本的には1回/週をご案内しております。1度治療をすれば効果があるという治療では無く、継続して治療していただく事が大切な治療となります。患者様一人一人に合った温熱療法を目指しております。3年以上を行なっている方々、または100回を越えて長期治療者となっている患者様が35人程度出てきております。その方々の成績は生存率約80%と比較的良い事が報告されております(日本ハイパーサーミア学会)。また、胸部、腹部などの2領域に関わる方は週2回までの治療が可能です。効果的な治療頻度はその方の癌の場所や状態によって異なります。
※その他ご不明なことがあれば、医師・スタッフにお申し出ください。
がんの化学療法

基幹病院での化学療法を継続する方については基幹病院での治療をお勧めしております。
しかし当院での治療を希望される方については、経口剤を中心に処方が可能です。現在投与可能な抗癌剤は5FU、TS-1、ロンサーフなどです。ハイパーサーミア治療中の方には基本的に化学療法の併用を勧めております。
ハイパーサーミア治療は放射線治療や抗癌剤治療との相性が良く、後者の治療に伴う副作用を軽減する効果が知られております。
化学療法に伴う副作用は骨髄抑制、嘔気、食欲不振、痩せ、手足のしびれなどがよく報告されております。抗癌剤の種類によっても異なりますが、人それぞれの副作用の発生には大きな差があります。化学療法に伴う副作用はできる限り軽減させることが、長期的な治療を可能にさせます。我慢すること無く、初期から軽減させる事が重要です。当院では副作用を軽減するために種々の漢方薬、制吐剤、鉄剤、亜鉛製剤、また痛み止めなどを用いて積極的に副作用軽減を企って参ります。
がん緩和ケア

基幹病院での治療を基本としていただいておりますが、痛みや咳などが急に出た方、基幹病院の薬で不十分な方、化学療法などに伴う嘔気、四肢のしびれ、栄養障害、体重減少、食欲不振などが顕著な方々に対しては、適切な時期に適切な治療をご提供しております。
痛み止めはNSAIDSなどの消炎鎮痛剤からトラマールなどの弱オピオイド、また緩和ケアの根管となる3種類のオピオイド(オピスタン、フェンタネスト、モルヒネ)を各種取りそろえております。痛みや背景の状況に合わせてご案内する事が可能です。
またヘム鉄、各種ビタミン、亜鉛などが不足する方々にも適切な処方またはサプリメントのご紹介などを行なっております。
他院との連携

当クリニックは、周辺医療機関と緊密な診療連携を結んでいますので、入院や精密な検査が必要な際には、適切なタイミングでのご紹介が可能です。
手術に関しては主に長野市民病院、または長野赤十字病院をご案内しております。血液疾患、肝臓病などに関しましては主に長野赤十字病院に専門医師が集中しており、こちらにご相談させていただきます。
がんの緩和ケアについては愛和病院または新生病院となります。
また、信州大学、相澤病院、国立癌センター中央病院、癌研有明病院、日赤医療センターなど県内外のセンター的病院とも連携を取っております。ご相談下さい。
がんのセカンドオピニオン

がん治療に関してセカンドオピニオンを希望される方は電話連絡をいただき、予約制でセカンドオピニオンを行ないます。セカンドオピニオンは30分単位となります。完全予約制ですが、(水)または(土)の12:00頃から設定させて頂いています。
~セカンドオピニオン外来の対象となる方
当院以外の医療機関の主治医の了解のもと、情報提供書持参の方のみ対象となります。ご本人の受診を原則としますが、同意書があれば、家族等でも受診は可能です。
~診療費用
自由診療(自費診療)となります。
30分まで5,000円 [税別] 以後30分以内の超過ごと5,000円加算 [税別]
*セカンドオピニオン外来では治療・検査・処方などを行うことはできません。
