大腸の病気(大腸炎・大腸がん・大腸ポリープ・過敏性腸症候群など)
大腸ポリープ
大腸ポリープは5mm以上の際には癌になる可能性があり(腺腫内癌)、内視鏡的切除術の適応となります。内視鏡的に確認するだけでは腺腫か小さな癌病巣(腺腫内癌)を区別することが困難ですので、内視鏡的にポリープ切除を行い、病理学的に確認する手法がとられます。当院では切除後1週間で結果をおお知らせしております。大きなポリープ、または明らかな進行癌症例では手術対象となります。
炎症性腸疾患
下痢や血便、便意頻数、発熱などで比較的若い方に多く発生します。炎症性腸疾患にはクローン病、潰瘍性大腸炎などがあります。両者共届け出が必要です。内視鏡にて大腸の細胞を取り、確定診断としますが、特殊な5-ASA製剤などを用いないとコントロールが困難です。最近炎症性腸疾患は増加傾向です。
大腸憩室
大腸憩室はCTや大腸CTでは比較的良く指摘されます。盲腸から上行結腸、下行結腸からS状結腸に好発部位があり、腹痛、発熱などの憩室炎、下血、狭窄、穿孔性腹膜炎などの原因になる事があります。憩室炎症状の場合には抗生物質投与、下血の場合には内視鏡的止血術が必要となります。これらの予防には便秘やバリウム検査の回避が重要となります。
過敏性腸症候群
排便の回数が3~5回/日程度と多く、下痢に近い軟らかな排便で、炎症性腸疾患ほどの炎症性変化が無い病態です。整腸剤、イリボーなどの薬を用いて排便コントロールを行ないます。
便秘症
便秘の程度は様々ですが、便秘と下痢を繰り返したり、高度便秘の場合には大腸癌などの合併を考慮して精査が必要です。精査の上器質的な疾患が否定された症例では適切な下剤、漢方薬などを処方して排便コントロール致します。便秘型過敏性腸症候群の場合には新しいリンゼスという薬が有効な場合があります。
大腸癌
大腸から発生する粘膜由来の悪性腫瘍です腺腫(ポリープ)と腺腫内癌症例は区別が付きにくく、内視鏡的ポリープ切除を行なって病理学的に区別を付けます。粘膜癌までは周囲リンパ節転移が無いため、ポリープ切除で治療は終了しますが、粘膜下層以上に進行した場合には転移の可能性が高くなるため、リンパ節郭清を伴う手術が必要となります。比較的早く発見した物では腹腔鏡下大腸切除術で小さな傷での手術で終了することが多くなっております。周囲のリンパ節転移を伴うような進行癌では術後に化学療法を行なう必要が生じます。癌の進行度に合わせて適切な対応が決められております。